【書評】小説「わたし、定時で帰ります」から学ぶ現代の生き方
いつもありがとうございます。あっきーです。
早稲田大学を退学して4年間アメリカ留学に行く予定のごく普通の大学生です。
先日、こんな本を読みました。
小説が苦手という意識があってあまり小説を読まないでいたんですが、何となく手に取ったこの小説がハマりました。
内容もすごく面白かったんですが、かなり現実に世界でもあって何かと考えさせられるものがありました。
今回は「わたし、定時で帰ります」を読んだ感想と、僕がここから学んだ現代の生き方(ちょっと壮大かもですが)を共有したいと思います。
「わたし、定時で帰ります」はドラマ化もされたお仕事小説
この小説の概要はこんな感じです。
- 現代のお仕事事情を切り取ったお仕事小説
- 新潮社紅白本合戦で女性に売れた部門第2位(令和元年)
- ドラマにもなった(吉高由里子主演)
現代の仕事に「あるある」な話
「わたし、定時で帰ります」はタイトルでも推測できるように”お仕事小説”です。
定時で帰ることを貫く東山結衣が、残業させるモンスター上司、恋人よりも仕事を優先する仕事人、すぐに辞めたがる新入社員・・・
様々な社員がいる中で、それでも自分の信念を貫く結衣とそのほか社員との闘いが繰り広げられています。
「残業させる上司」とか「すぐ辞めたがる新入社員」なんて、あるあるかなと思うところですが、かなり新鮮な設定になっていて、現代の生き方を考えさせるような内容も読み取れます。
女性に人気のお仕事小説
また、この小説は女性に特に人気だそうです(僕は男ですが)。
主人公が女性で、しかも自分を貫いて誰にも干渉されてない姿がやはり魅力的なのかなと思いますね。
これに関しても後ほど詳しくお話します。
ドラマ化もされた大人気小説
実は、この小説はドラマ化もされていて、2019年の4月から放送されました。
吉高由里子さんが主演のドラマで、実は僕はドラマを見て小説を読みました。
それくらい影響のある小説なんだなと思いますね。
「わたし、定時で帰ります」は本当に面白い
内容に少しだけ踏み込みながら感想を話したいと思います。
多少のネタバレになってしまうかもしれないので、ちょっとのネタバレも避けたい人は読み飛ばしてください。
よくあるお仕事小説のようで、新鮮
先ほども軽く触れたように、残業を押し付けるブラックな上司だったり、すぐに辞めたいと言い出す新人。
さらには、風邪でも出勤する社員や出産して間もなく仕事に復帰する社員、会社に寝泊まりする社員などなど、いかにも「ありそうな」会社ですよね。
ところが、実際にはものすごく新鮮な内容だったりします。
定時で帰ると、自分を貫き通す主人公が魅力的
新鮮さを感じるのがやはり主人公の存在です。
あるIT会社の社員であり、ずっと定時で帰ることを信念に掲げる女性、東山結衣。
仕事スキルは非常に高く、それでいて定時で帰ることを正義のようにふりかざすことはない。
これだけ聞いてもかなりの新鮮さが伝わるんじゃなかなと思います。
仕事は仕事としてきっちりやり遂げて、終われば即ビール。そして、結婚へ向けた彼氏とのワクワクな時間を過ごす。
仕事とプライベートを「ここまでか」というくらい分けているのが魅力を感じますね。
現代の会社、特に「ブラック」と言われるような会社なら
- 定時で帰るなんてムリ
- 女性が強く自分を貫くなんてムリ(男性でも難しい)
- 常に仕事のことを考える
- 嫌な仕事から逃げられない
- 上司はただただ口だけ
というのが一般的な認識にあるかと思います(特に上二つ)。
ブラックの要素全てから反対の立場にあり、とにかく自分を貫いているそんな主人公の新鮮さがあるあるのお仕事小説全体を新鮮にさせ、むしろあるあるな仕事現場であること自体が魅力的な舞台になっているところが素晴らしいですね。
1人として見捨てようとしない主人公の温かさも感じる
また、結衣は誰よりも人のことを考えているという温かさも見えています。
「スキルが高くて定時で帰る」と言われると直感的に「イヤなやつ」って思いません?鼻につくっていうか。
ですが、結衣からはそういう雰囲気が一切出てないんですよね。
それは、先ほども言ったように定時で帰ることを正義にふりかざしてないんからなんですよね。
自分を貫き通すも、しっかり社員は見捨てず仲間意識をしっかり持っています。
例えば、風邪でも出勤する三谷という社員を自分の父親が過労死したというウソ話まで持ってきて、有休をとったりなど本来あるべき方向にもっていったり。
生産性が低い吾妻という社員には、生産性を上げるための対策を一緒に考えてサポートしたり。
赤字必至の案件を受けて社員に残業までさせるブラック上司こと福永を案件から外したときも、「待ってます。私だけは福永さんを絶対に裏切りませんから」といって長期休暇を促したり(福永をマネージャーという重い立場に無理をしすぎたと理解してのこと)
などなど、とにかく誰一人として裏切ろうとはしないんですね。
「全員を定時で帰す」という信念により温かい行動だと思います。
「戦争と仕事」という不思議な構図
これはお仕事小説であるんですが、実は途中途中に「戦争」というキーワードも出てきます。
「インパール作戦」という戦時中の屈指の無謀策を実行した様子が、現代のブラック会社の状況を表しているのがなんとも不思議な構図だなと思いました。
「インパール作戦」を実行しているようなブラック上司の福永、そして「インパール作戦」の中独自撤退命令を下した司令官のような立ち位置にある主人公の結衣。
そんな構図が、よりブラックな事情を浮き彫りに、鮮明にしているように思えます。
「わたし、定時で帰ります」から学ぶ現代の生き方
あれこれ話すときりがないので、感想はここまでで。
僕は、この小説を「ただ面白かった」で終わらすには無理があるなと思いました。
「現代のお仕事事情」である以上、学べることがたくさんあるからです。
なので、ここから学べる現代の生き方をシェアします。
自分をしっかり持って生きる
現代では、ここが一番大事になってきます。
今は大学生はもちろん、中高生でも起業家として活動している人はわんさかいます。
また、いわゆる「会社」で働くことは窮屈になってきて、副業やフリーランスという風に個人で生きることが推奨されています。
こういう方向で成功する人、失敗する人がくっきり分かれますが、大きな差は自分をしっかり持てているかというところです。
「自分が何をしたくて、何が好きで何が嫌いで、どういう目標があって・・・自分はこれをする!」
というのを超明確にしている人が勝つ世界なんですね。
主人公の東山結衣もまさに自分の核をしっかり持っているからこそ、自分のペースで生きていられるわけですね。
そしてブラック社会とも対立できるわけです。
自分で道を選択して責任を持つ
上に似ていますが、自分で道を選択してそれに責任を持つことも大事です。
何も考えなければ、「学校に行って勉強・部活をやって、遊んで、受験して進学する」という一般的なレールの上を進む人生を大学生まで送ります。
しかし、そのあとは自分ですべて選択をしなければいけません。
もっと言うと、大学生まで上のようなレールを進んでいると後々きつくなります。
おそらく近い将来、「学生の間に自分でお金を稼ぐこと」が一般的なレールになると思っています。
常に自分が選ぶべき道を考えて、自分の判断で進まないと人に左右された人生を歩むことになります。それほど幸福度の低い人生はないんじゃないかなと思います。
なので、自分で道を選択することが大事なんです。
そしてそのうえで、自分が選んだことに責任を持つことです。
自分で決めた道なのに人にせいにしてしまうことは無意識であります。自分で決めることは、人に左右されない分、人に左右してもいけないことです。
東山結衣もそういうところが浮き彫りになっていますね。
逃げたいときは逃げればいい
僕らは学生の頃から「逃げてはいけない」っていう観念を押し付けられていますよね。
日本人は「我慢が美徳」というのが世間一般で、実際にこの小説でも描かれていますね。
ですが、逃げたいときは逃げてもいいと思います。
自分が嫌なことをやり続けても、自分が辛いのはもちろん、それによって誰も得はしません。
ある作業を押し付けた上司からみれば、嫌々やられて質の悪いものを出されてもイライラしますし、
ある品を頼んだお客さんからしたら、信頼していたのに裏切られたという感情を持ちます。
自分も、そして相手の幸福度を考えたら、嫌なことからはとっとと逃げた方がいいわけです。
もはやそれは逃げになりません。
「好きなことをやっていく」というのが今後の生き方に必要不可欠な要素になってくることだと思います。
(とはいえ、好きなことの中にも面倒なことはあると思います。)
人に感謝して生きる
最後は、人に感謝して生きることですね。
どう頑張っても、自分の人生には他人が関わってきます。人間関係は人生の根本だと思っています。そして、その他人に必ず助けられているわけです。
となれば、感謝していくことが一番の幸福度の高い生き方なんじゃないかなと思います。
感謝することで、感謝されもするので幸福度は上がる一方です。
この小説でも、結衣にもそのような行動がみられています。
まとめ:深く考えさせられるお仕事小説
新鮮であるあるなお仕事小説という「わたし、定時で帰ります」は、本当にこれからの生き方を考えさせられます。
実際に上にあげた4つは僕自身振り返ってみて何1つできていなかったことです。
小説を通したからこそ、自分の生きる方向を変えることができました。
早稲田大学を退学して留学という道を選んだし、
留学を前向きに考えてくれた家族にめっちゃ感謝してますし。
本が苦手な人でも入り込める1冊だと思います。ぜひ読んでみてください。
それでは、また。
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